先生がいない。教科書もない。映画『The School In The Cloud』上映会+Q&Aセッション/ゲスト:学びの見守り達人スニータ先生

イベントレポート


日時:2021年11月28日(日)9:00〜12:00


学習者が自らどんどん学びを深める環境、それはどんな環境なのか?

スガタ・ミトラ博士が提唱する教育メソッド、SOLE(Self-Organized Learning Environment、ソール)とは?


まずは予告編をチェック!

https://vimeo.com/ondemand/sicjapanese


TED賞を受賞したTED Talk Sugata Mitra "Build a School in the Cloud"

https://www.ted.com/talks/sugata_mitra_build_a_school_in_the_cloud?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare


ワンクリックで世界規模の情報ネットワークにアクセスできる今、ヴィクトリア時代から続く学校の仕組みは、もう時代遅れであるとスガタ・ミトラ博士は主張します。2013年、TED賞受賞のステージで、博士はクラウド上のリソースや遠隔地にいる教師の支援を利用して、子どもたちが自由に探究できる学習室=The School In The Cloud について語っています。


映画『The School In The Cloud』では、インドの僻地で、道端の壁に穴をあけ設置したパソコンを使って行った「Hole In The Wall実験」から、のちに世界中に広まることになる教育メソッド「SOLE」(ソール)が生まれるまでの物語に触れながら、子どもたちの「自ら学ぶ力」の可能性を再発見することができます。


また、今回のイベントでは、映画の視聴後、同映画に登場する、学びの見守り役「Granny」チームのディレクター、スニータ先生をお招きして、Q&Aセッションを行いました。(通訳あり)


Q&Aセッション

ゲスト:スニータ・クルカルニ博士(心理学)


Q:SOLEのどのような要素が、子どもたちの自由な学びを実現させているのでしょうか?

A:大きく2つの要素があると思っています。まず、子どもたちに細かい指示をしないことです。Self-Organized Learning Environmentは、そういった干渉をやめて、主導権を子どもたちに委ねることで、子どもたちの学ぶ力を引き出しています。次に、学びのプロセスが周り(大人)から見えるようにしておくということです。安全な環境で、安心して学べるということは、とても重要ですし、大人が見守ってくれていて、励ましてもらえるとモチベーションが上がります。


Q:クラスには様々なタイプの子どもたちがいます。好奇心を持って探究的な学びを進めていくのが得意な子もいる一方、勉強することを提示してもらって学習するのが得意な子もいます。SOLEは、全ての生徒に対して有効な手法だと思いますか?

A:一見、SOLEに興味がなさそうな子もいますが、それでいて耳では聞いていて、なんだか面白そうだと思ったら入ってくるということはよくあります。また、何度もセッションをやっていると、ひとりひとりの特性がわかってくるので、Grannyも工夫して対応しています。SOLEは、ひとつの完成されたメソッドではなく、さまざまな地域、文化、環境、子どもたちの特性などにあわせて、やり方を柔軟に微調整することで効果を発揮します。先述の2つの要素を大切にしながら、工夫しながら実践していただけたらと思います。


Q:The Granny Cloudには、定期研修はあるのですか?

A:定期研修はありませんが、サポート体制はあります。まず、The Granny Cloudチームに加入すると、最初にオリエンテーションとOJTのようなものがあります。また、フェイスブック上にGranny専用のグループがあり、Granny同士で学びあっています。そこにはディレクターを含むコアチームもいて、いつでもアドバイスをもらえる体制があります。


Q:映画の中で、貧困差で受けられる教育に差がありました。そこへのサポートは何かあったり、制度が出来てきたりしてるのでしょうか?

A:貧しい地域にも経済的な支援と教育が行き届けば理想ですが、そうはなっていません。地元の有志が自分のパソコンを持ってきてくれて、そこからその地域でのプロジェクトが始まるという形で、まさに、コミュニティがSelf-Organizeしています。


Q:SOLEはインドの教育省に受け入れられていますか? SOLEはインドの公教育にどのくらい導入されていますか?

A:インド全土の状況を把握しているわけではありませんが、導入している学校はまだ少ないです。まったく新しい学び方を学校に提供できる組織として、The Granny Cloudが存在していること自体、まだ広く知られていないのが現状です。また、学校に導入することを難しくしている最大の理由として、Grannyが全員ボランティアであることが挙げられます。学校正式に導入する以上は、正式な時間割を作り、確実にGrannyを確保する必要がありますが、それはボランティアのチームでは、残念ながら叶いません。今後、よりフォーマルな存在として、必要な教材や研修を提供できるようになれば、もっと広めることができる思います。しかし一方で、公教育に組み込まれたとたんに、形式ばったものになり、SOLEの良さが消えてしまわないかという懸念もあります。もうしばらく、今のようにオーガニックに、Self-Organizeしながら土台を作っていっても良いのかもしれません。


Q:息子が通っている学校で、Chrome Bookの配布がありましたが、自由に扱える息子はどんどん使いこなして、壁紙を好きなキャラにしたり、スクラッチで上手く作った人の作品の動画を見たりして、彼なりに好きな分野を楽しんでました。でも、学校では、彼の使い方は良しとされず、全て禁止されてしまい、やっていいのは、彼の興味のないプログラムだけになってしまい、Chrome Bookを使わなくなってしまいました。いいものがあっても、やはり使う人、使わせる人、質問を投げかける人、がそろわないとSOLEのようなことは今の学校では難しいものなのでしょうか?

A:さまざまな子どもたちがいるのですから、さまざまな使い方やアプローチが必要ですよね。ひとつのシステムが、すべての子どもたちに対して有効だなんて、あり得るのでしょうか。また、ひとり一台配布というのも、果たして必要なのでしょうか。複数の子どもたちでひとつの端末を共有してコラボレーションすることで、ひとりではなく、チームワークで学ぶという、本来あるべき「学び方」そのものを学ぶことことができます。学校、公民館、児童館のような場所に、そのように共有できる端末が必要な台数あるという環境のほうが、子どもたちにとっては、良いのではないかという気がします。


Q:Grannyがリモートで行うSOLEセッションも、「オンライン授業」の一形態ですが、何かコツのようなものはありますか?

A:通常、Grannyだけがリモートで、子どもたちは教室に集まってオンラインで参加する場合、Grannyから教室の子どもたちの様子が見えにくいという難しさがあります。教室にコーディネーターがいて、見守ってくれていますので、子どもたちに興味を持たせることが、Grannyの腕の見せ所です。コツとしては、「笑い」が重要だと考えています。子どもたちを笑わせることで、子どもたちを惹きつけ、Big Question(探究テーマ)に集中して取り組みやすくしています。


Q:SOLEを使ったオンラインでの国際交流は、有効だと思いますか?

A:もちろん!海外の学校とのSOLEセッションは、絶対にやる価値があると思います。リモートでコラボレーションするだけでなく、言葉の壁も超えなければいけませんから、やり方には相当な工夫されていることでしょう。The School In The Cloudで学ぶ子どもたちの保護者や彼らが暮らすコミュニティでも、子どもたちが海外のGrannyと交流し、多くを学んでいることに、大きな価値を見出しています。


(通訳:加藤裕明)


▼ゲスト(Q&Aセッション)

スニータ・クルカルニ博士(心理学)

カウンセリングと子どもの発達を学び、心理学の博士号を取得し、大学での教育、研究、特に恵まれない環境にいる子どもとその保護者を対象としたワークショップ開催など、教育の現場で40年にわたり活動。The Granny Cloud ディレクター。


経歴:学士号(St. Xaviers, Mumbai)と修士号(Texas A & M, USA)を取得した後、1981年からNirmala Niketan(Mumbai)の児童・人間開発学科で教鞭をとり、1996年に博士号を取得した後は、SNDT女子大学の子ども向けコミュニケーションメディア学科や、サヴィトリバイ・プーレプネー大学のラリタ・カラ・ケンドラ(舞台芸術学科)で教鞭をとる。2002年からは、独立したコンサルタントとして、サー・ラタン・タタ・トラスト、インクルージョン・インターナショナル、AWMHなどと仕事をした。2007年以降は、SOLE と The Granny Cloud に力を注ぐ。2016年に現役を退き、The School in the Cloud のリサーチディレクターを務めていたが、2008年の設立以来育ててきた The Granny Cloud のディレクターを続けている。


▼ファシリテーター

加藤 裕明(SOLE Fuchinobe 塾長)

米国オレゴン州 Pacific University にて学士号取得(社会学専攻)。2010年から子どもたちの教育に携わっている。映画『The School In The Cloud』に登場する学びの見守り役のボランティア・チーム「The Granny Cloud」に2018年から参加し、インドの子どもたちを相手に SOLE による教育を実践。また、自ら経営するもうひとつの学習塾の生徒たちを巻き込み、SOLE を使って国際交流も行っている。2019年に、数少ない日本における SOLE 実践者であるマイク・ライオンズ先生と共に、SOLE を使った国際交流の相手校マッチング・サイト「SOLE Online」をオープン。


▼主催 

SOLE Fuchinobe(ソール淵野辺)

https://www.facebook.com/solefuchinobe

子どもたちの自由な学びを応援することで、子どもたちの持って生まれた「自ら学ぶ力」を最大限に引き出す教育メソッド SOLE(ソール)の塾です。


▼共催 

ミライプラス

https://www.facebook.com/mirai.plus.x

ミライはどんな世界でしょうか?

AIやロボットによって本当に仕事が奪われてしまうのでしょうか?

アトムやドラえもんで見たミライはワクワクしませんでしたか?

そんな楽しい未来、明るい未来を創るのは子どもたち。子どもたちが好奇心を持ち、自ら学び、考え、そしてチャレンジする世界を作る、それが私の願いです。ミライに輝きをプラス!


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